開発の背景

このページでは「気温データ・グラフ表示システム」を開発するに至った背景をお話しします。

そもそもは、ある危機感から始まっています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

情報技術の飛躍的進歩により、人々の活動に関する大量のデータが蓄積されるようになりました。ビッグデータなどと呼ばれる場合もあります。その一方で、大量のデータから意味のあるパターンを導出するデータマイニング技術が可能となってきました。これを用いると、例えば企業経営の場合、消費者の新しいニーズや未知の市場の動向などを把握する能力が大きく向上するといわれています。企業経営のほかにも、医療や防災など幅広い活用が期待されています。

 

データマイニングは、今後、技術力と情報力を柱として変化の中を生き抜こうとする日本において、広く活用されるべき技術です。しかしながら、近年の若者の理数系嫌いは、データマイニングをはじめとするデータ科学の普及に大きな障害となる危険が大です。そこで、小中学生など、人生の早いうちにデータ解析を経験し、その面白さや有効性を体験する教育があれば有効ではないかと期待されます。

 

ただし、ここで問題となるのは、どのデータを教育素材として用いるかです。これに関して、日本各地の気温データを用いることを考えました。日本の国土は北半球の中緯度に位置し、かつ南北にも東西にも、それなりの幅を持っています。そのため、24時間を周期とした気温変化、四季による年間の明確な気温サイクル、南北間の気温差、東西間の気温上の時差など、気温データの中に解析対象となり得る豊富なパターンが潜在しています。また、そのパターンは、高度な技術を用いずとも、普段見慣れたグラフを用いて確認することができます。さらに、気温データは小中学生にとって最も身近な数値データであり、緯度や標高、あるいは時刻や季節など、物理的決定要因も広く知られています。

 

このように日本各地の気温データは、小中学生を対象としたデータ解析導入教材としてうってつけの素材です。また、これを用いることは、日本の国土の特長を活かすことにもなり、国土への興味や理解を促進する効果も期待できます。しかしながら、大量のデータを対象にグラフを描く作業は、たとえ表計算ソフトを用いても、多くの時間と労力を必要とします。ある程度の技術も必要とします。このことが教育の効率を低減させる恐れがあります。

 

そこで、簡単な操作で気温データから必要なグラフを作成できるシステムの開発を計画しました。見たい気温データや気温データ群を簡単な操作で指定するだけで、コンピュータが適切なグラフを瞬時に作成して表示するシステムです。これがあれば、学習者や指導者は、煩雑なグラフ作成に労力と時間を割くことなく、効率的に学習を進めることができます。このようなシステムが日本中の小中学校にあればいい、そんな夢から「気温データ・グラフ表示システム」が生まれました。